じぇねくそぼーど

所詮は落書き。

チャリで参拝

唐突に頭にこんなことが思い浮かびました。

「なんか、自転車でどっか出かけてみたくねぇか?」

理由は特にございません。昼飯を食いに自転車でレストランまで来て、午後は授業も何もないから何か退屈を紛らわすことはないかなぁと思っていたら閃いただけのことです。

というわけでどこにしようかと思ったところ「お寺とか庭園とか落ち着く場所がいいなぁ」と思って一番近そうな場所を選んでみました。その名も「成田山新勝寺」。自分のいた場所からだいたい15kmぐらいかぁ、いいね、と思って食い終わったら早速Google Mapを開いてルートを確認して漕ぎ始めました。

 

とりあえず50分ほど漕ぎ続けて着きました。まず表参道の手前くらいで自転車から降ります。

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The参道って感じ

いろんなお店が並んでいます。食処はもちろんのこと、お菓子さんとかおみやげ屋さんとか。ところでここの食処はほとんど天ぷらとそばしか売ってません。お菓子とかは美味しそうなのがちらほらありました。買っとけばよかったと今更後悔する...

ちょっと進んでいくと寺院の入口が見えます。

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総門。

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とても綺麗な門です。

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奥にあるのは「仁王門」で、中に金剛力士像が祀られています。

仁王門をくぐると池の上にかかった曲がりくねった橋と階段がございます。

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亀を模した岩、エモいです。鯉も泳いでいます。

階段を登りきると一気に広くなります。開放感が半端ないです。

中央には本堂がございます。

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本堂の裏側には地蔵の石像が岩の上に点在していて、エモみを感じてしまいました(圧倒的ボキャ貧)

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まさに「聖域」の印象が強く感じられます。

 

そして本堂の右側には三重塔などのモニュメントが。

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真言宗の寺院の独特の特徴「多重塔」。

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こちらは「聖徳太子堂」で、なんでも日本の仏教の開祖である聖徳太子を祀ったモニュメントだそうです。

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聖徳太子堂の脇に階段があり、そこを登るとさらに寺院の奥に進めます。

手前左側が「額堂」で、中には様々な地蔵の石像が置いてありますが、どうやらこれに祈ると戦いに勝つと言い伝えられているのだそうです。そのすぐ奥の建物が「光明堂」で、良縁を祈祷する場所でございます。

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その奥に進むと右側には成田山公園がありますが、ここはあまりにも広すぎて時間的に余裕がなかったので訪れることができませんでした。残念。

さらに進むと、先ほどの三重塔より大きな塔が立っているのが見えます。これが「平和大塔」です。これは今までのモニュメントの中ではひときわ僕の気に入っているものです。周りには人が誰一人としておらずただポツンと立っていたのですが、そんな高いモニュメントが静かに佇んでいる光景はなんというか、荘厳さのこもった空気を放っているようにも感じられました。
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上に登ると見える風景。みどりに囲まれているのもいいっすねぇ〜

とりあえず平和大塔の賽銭箱にチャリーンしてお祈りした後、降りて帰路につきました。ここで変な道を通って大いに迷いまくったのは、俺のような俗物に神罰がくだったからですかねぇ。

次はどこに行こうかなぁ。

自己満有機化学① Turbo Grignards

こんばんは、じぇねくそです。

とりあえず退屈な時間を潰すためにブログに書くことをいくつか考えた末、日頃趣味として嗜めている有機化学のお話でも書くかなぁと思ったり。でも自分のようなヒヨッコが書いたら本物のガチプロさんにぶっ叩かれる未来が見えたので、あくまでも率直な感想程度をダラダラと書いていこうかなと思いました。

さて、今日の昼休みにテキトーにケムステでサーフィンしてたらこんなものを見つけました。

www.chem-station.com

 ほーん、「ターボグリニャール」ときたか...無駄にかっちょいい名前してやがるなぁ。

まず「グリニャール試薬」というのは有機化学においては大変重要な試薬でございます。それはもちろん「C-C結合を作れる」能力があるからです。もう100年以上にわたって有機合成では使われています。

主な反応とかを見ると

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Ketone, Ester, Epoxide Rxns.

他にもニトリルなどとも反応できます。

しかし、グリニャール試薬は強塩基であり、水とでさえ反応してしまう非常にデリケートな子です。なので、そのままでは試薬として使えないものもいくつかございます。例えば...

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そりゃあ無理よ

ご覧の通り、用いる試薬にもカルボニルが付いているので、試薬が自身と反応してしまうリスクがございます。

でもこのカルボニルが付いてる試薬を使うならば、そのカルボニル基を「保護」してやればいい話で、アセタールにしてカルボニル基を一旦保護すれば全然問題なく使えます。

問題はこういうやつ。

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に、ニトリル...?

ニトリルやエステルなどの、カルボニル基以外で反応できる官能基が付いている試薬は先ほどのアセタールのようにお手軽な保護方法がありません。

じゃあ使わずに諦めろと言ってもいいんだけど、こういうのが使えるようになったら超便利じゃん?

そこで登場するのが「Turbo Grignard試薬」です。端的に言うと、こいつを使うことで上記のような本来使えない試薬が使えるようになるのです。今まで通りの使い方でも
全然OKという点も大変魅力的です。

下の図を見てください。

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どうやら最初の化合物をグリニャール試薬にしたあとでPhCOClを反応させると、いつも通りのグリニャール試薬の反応が起きた模様です。驚くべきなのが、ニトリルが事故反応をせずに平然と無反応のままでいることです。

どうやら最初に加えたiPrMgCl・LiClが何かをしているようです。この化合物はTHF溶媒中にiPrCl, Mg, LiClを加えて反応させることで生成されます。iPrClをMgをTHFに加えるのは普通にiPrMgClの生成だっていうことは簡単に理解できるのですが、このLiClは個人的に見慣れない化合物なので、ちょっと気になりました。 

読むところによるとLiClを加えることでiPrMgClが活性化する模様です。ちょっと詳しく言うと、iPrMgCl-LiClという四員環が形成し、iPrがよりマイナスに帯電するんだとか。しかしそれも実験結果から予想したことなので、本当かどうかは定かではないです。あちこち調べまわって反応機構を探して見たんですが、まだ考案されてない模様。論文とかもチャレンジして読んでるんですが、僕のヒヨッコ頭では全然理解できてない模様。

でも面白いですね、こういうの。そんな感じ。

それじゃ。

 

 

 

こくご

ふと昨日思ったことがあるのですが、なんだか書き留めておきたい衝動に駆られたのでここにメモるかなぁと。

僕の大学はバリバリの理系ですが、それでも去年はセンター試験の国語の勉強をしていたものです。センターの結果は目標点を少し下回っていたので、正直もうちょっと頑張れたかなぁ、と今でもごくたまに後悔することはあります。

というのも、最近国語に触れる機会が減ってきて、少し自分の中で「危ないなぁ」という漠然とした思いが生じることもあります。受験の時は国語の教本を読まない日はほとんどありませんでした。毎日国語の「何か」をやっていた。現代文の講習の問題を解き直しだろうが、古文の単語帳だろうが、過去問だろうが、どこかで必ず純粋な日本語と向き合う時間がありました。でも大学に入ってからは古文なんてやるわけがないし、読もうと思って持ってきた漢文の本も途中までしか読めていない。

数ヶ月前の僕自身が今の自分を見たら呆れるに違いないでしょう。あれだけ国語が好きだと言っていたのに今や何もできていない。でも仕方がない。大学の勉強は思ったよりも時間がかかるし、受験期にはなかった友達との時間もあるし、何より長い授業の後に疲れた身体に小難しい文学は負担がかかりすぎる。

ちょっと昔の話をすると、受験期に入った時は全く国語の知識などなく、むしろその勉強をすることに抵抗を感じていました。現代文はなんとかなるとしても、ゼロから古典の勉強なんてできるものなのか。失敗するのではないかという不安もありました。実際古文の初めの「活用」などというのを見て当時の自分は全く理解できない内容を前に失神しそうな状態だったのは今でもよく覚えています。

しかし、時が経つにつれ国語は単なる「日本語の勉強」ではないことにだんだん気づいてきました。春に河合塾で受けた現代文の講習で、文章や語彙の面白さ、文化や社会の様々な要素の奥深さに惹かれました。どれだけ多くの知識を得たことか。日頃の古文の学習は苦しかったけれども、問題からスラスラと解けるようになったあとはその文章の様式にどハマりしました。漢文は中国語で読んででサラッとやっていたのが、訓読と漢字の日本語での読み方の理屈を知ると、その理路整然とした流れに感動したことが何回あったことか。

いつの間にか「国語」は好きな科目になっていました。夏が過ぎると数学や物理そっちのけで国語と好きな化学に1日を費やすことだってありました。5月の時点で国語の偏差値が悲惨なことになっていたのが、年末ごろには70台近くに到達しました。その代わり、数学と物理は最後まで微妙でしたが...(そのせいで私大は苦戦しました)。無事センターも切り抜けると、国語の学習をしなくてもよかったのに、時々書店に寄っては中国古典を探して立ち読みしていました。

 

普通、こんなことを言うと「じゃあ文系の学部に進学すればよかったじゃないか」とのたまう方々がいます。ごもっともな意見だと思いますし、正直なところ自分は理系よりも文系の方が向いてるんじゃないかとも思っています。しかし、自分のどこかでもし文系の学部に進学してしまったら、国語が好きじゃなくなるかもしれないと思ってしまうんです。

というのも、学校や大学で何かを学ぶときはあちらから「責任」を要求してくるのです。誰かが言っていた気がするのですが、物事は責任が伴うと一気につまらぬものなってしまうと。全ての場合に於いてこの言葉が真であるとは言い切れませんが、間違ってはいないと思います。

例えばあるゲームが好きでやっていて、それが若しプロチームでやらなければいけないとすると、周りからの要求に合わせながらプレイしなければならなくなる。つまり「責任」が生じるわけです。その「責任」に合わせることができなければ、いい結末にならないケースが多いです。

学校や大学は「課題」や「テスト」などの形で「責任」を課します。それらは悪いことだと思っていませんし、むしろ必要な要素であると考えています。ですが、国語すなわち文学などに関しては、「テスト」では測れない要素がゾロゾロあります。そのよくわからない要素をゆっくり探求して、驚くような発見をするのが僕がやりたい国語であって、「責任」を要求されるとゲッソリすると思います。

実際僕の学校でもそうでした。ある文学作品を扱う際に、どんな要素が重要で、どんな風に解釈せねばならないかはある程度決まっていて、それを書かなければいい点数なんてもらえなかったのです。でも点数は欲しいからとりあえずはそう言われた通りにやるかなぁと、妥協をするのですが、心の内では不満足でたまりませんでした。こういう読み方もあるのでは?となんども自分で思うことも。

別に僕は文章が特別上手いわけでもないし、漢文の専門家でもありませんので少々エラそうなことを言ってるのかもしれないです。でも、あくまでも自分としてはこのような方法で国語と触れ合いたいとは思っています。

 

なんでこんなの書いたかなぁ。まぁいいか。

それでは。

個人的に使うオモチャのお話

こんばんは、じぇねくそです。

大学では有機化学の授業は誠に残念ながらありませんが、それでも僕は有機化合物で毎日遊びます。そこで、自分の遊び道具とやらをちょっと紹介したいと思います。

 

1. MarvinSketch

個人的に一番使いやすいエディタです。このソフトを運営しているのはChemAxonという世界中で活躍している化学・生物インフォマティクス会社で、基本的にMarvinは無料でダウンロードできます(ただしChemAxonのアカウントを作らなければならない)。Mac/Windowsに両方対応していますが、最新版のJavaが必要です。

レイアウトはこんな感じ。

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左側には各種ドローツールが揃っています。僕が特に便利と思ったのが上から2番目のギザギザしている「Draw Chain Tool」。これは直鎖の炭素鎖を作ってくれるんですが、マウスをドラッグするとどんどんCが増えて伸びてくれるので、いちいち単結合ずつ作る手間が省けます。地味に炭素鎖の端っこでメチル基を書いてくれるのは助かります()

また、青い矢印の「Arrow Tool」は反応を示す矢印だけでなくて、平衡、共鳴、逆合成(Retrosynthetic)の矢印も書けますので、反応条件はもちろん、問題文や解説などを作るときに非常に便利です。

化合物を描いて間違えたときは単にドラッグするだけで消えます。とっても効率がいいですね。ナフタレンのツールがあるのもとても良い。

右側には元素がありますが、よく使う水素やハロゲンなどがまとめられていて見やすい感じがします。もちろん他の元素もぜんぜん使えます。また、違う元素を化合物中で用いると色が変わるのも素晴らしいです。

総じて使いやすさはピカイチです。見やすいし効率がいい。まだ使い始めて2ヶ月ぐらいしか経っていませんが、これからはこれをバシバシ使うと思います。

もし興味が沸いたら是非ともChemAxonのホームページからダウンロードしてみてください。アカウント登録も全て無料です。また、ChemAxonからいろんな新しい化学や生物についての情報も入ってくるので理科好きには必須だと思います。

HPはこちら:https://chemaxon.com/

 

 

2. PubChem Sketcher v2.4

Link: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/edit3/index.html

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化学をやっている人間でPubChemの名を知らぬ者はいないと思います。アメリ国立衛生研究所(National Institute of Health)が管理している最大級の化学データベースです。化合物についてのデータは異常なほどに詳しくまとめられており、僕みたいなヒヨッコには情報量が多すぎるので普段は使いません。

でもこのエディタだけは別です。Marvinを手に入れる前は半年ぐらいこれを使って色々遊んでいました。

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 レイアウトはこんな感じ。運用方法はMarvinとほぼ同じですが、このSketcherの一番の強さは「膨大な種類の化合物に素早くアクセスできる」ことです。見てください、この画面だけでもシクロプロパンからシクロオクタンまでクイックアクセスできる他、ニトロ基などの官能基もすぐにパッと出せます。よく見るとFischer投影式も描けますねぇ。

また、ベンゼン環と+の間の表みたいなのがありますが、これが非常に素晴らしいのです。クリックするとこんなものが出てきます。

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環状化合物。そこそこよく使うのでパッとアクセスできるのは助かる。

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ポリ環状化合物。かっこいい。クラウンエーテル まであるとはおったまげた。

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アミノ酸各種。

...と、膨大な数の化合物をまとめてくれています。クリックするだけでパッと出せます。流石PubChemと言ったところでしょうか。

ただ、欠点としては化合物の回転や移動、削除がしづらいこと、ネットに接続できなければ使えないこと、あと文字が打てないことです。回転や平行移動がしづらいのは地味に不便で、間違って化合物の結合を1本だけ外してしまったり、消そうと思ったところと違う箇所を消してしまったりするので、そこは改善してほしいところです。

 

大学では全くと言っていいほど有機なんてやってないですが、趣味でずっとやり続ける気満々なのでこれはしばらくいい暇つぶしになるだろうなぁと。

 

それではノシ


 

 

Prison Update #1

 

大学寮という名の刑務所にぶち込まれて早くも一ヶ月が経過しようとしていますが、とりあえず元気です。

以後、不定期に刑務所生活のダイジェストをちまちま書きとめようと思っていますのでよろしくお願いします。

それでは始めませう。

 

レイアウト:

男刑務所は北、南、東の方角にそれぞれ棟がございます。各棟は全て5階建て、そして各階に大部屋が2つあり、その部屋の中で8つの2人部屋に別れています。便宜上、これらの各階の大部屋をセクターと呼んでおきます。

ちなみに僕の収容されている所は東棟です。僕のセクターでは囚人長が1人、囚人が14人ございます。囚人長は囚人が規則を守っているかどうかをチェックする役割を持っていますが、この囚人長はとても優しいお方なので、夜遅く起きていても特に何も言われません。

刑務所内にはWi-Fiがありますが、これは0100-0800の間では突然回線が切れます。なぜかはわかりません。

食堂:

刑務所本棟のすぐ目の前にあるのが食堂です。3階建ですが学生が使えるのは2階まで。2階にはセブンがあって、とりあえず品揃えは良い感じです。

食事は定食・ラーメン・カレーなどオーソドックスなものが揃っていますが、白米の量が多いのと、野菜がとても少ないのがネックです。セブンでサラダを調達するのが日課になっています。

イベント:

刑務所に収容されるのは僕の学部の1年生だけでなく、他学部の生徒らも数多く強制収容されますので、人数がとても多いです。そのため、刑務所側が主催するビッグイベントが少しございます。

・仮名『刑務所会』

すでにこの時点で4、5回は開催されていると思いますが、最初の1回以降は全く行ってません。刑務所の男女の指定されたセクターが互いに交流をしあうというイベントですが、いわゆる「合コン」と全く同じような雰囲気です。後述の「刑務所祭」の準備の為でもあります。

・仮名『刑務所祭』+『爆笑強制労働会』

5月末〜6月始めの辺りで、高校の文化祭に相当する『刑務所祭』と『爆笑強制労働会』が3日ほどに渡り開催される予定だそうです(詳細はまだ不明ですが)。前年度だと1日目に『爆笑強制労働会』が開催されたみたいですが、今年はどうなることやら。

爆笑強制労働会は文字通り笑顔で強制労働をする会です。普通の運動会のレベルを上げ、それにシュールな要素を数多くごちゃ混ぜにしたようなものですが、恐ろしい予感がします。

そして、2・3日目には仮名『刑務所舞踏会』なるものが開かれます。ここでは、囚人がペアになり朝から午後遅くまでダンスをするだけの会です。この囚人ペアはあらかじめ決めておく必要があり、そのペア探しのために前述の『刑務所会』が開かれているのでございます。なお、基本的にペアは男女であることが原則ですが、必然的に女囚人の人数が少なめなので余った男囚人は男同士のペアになるか、それとも逃げ出すかの二択に迫られることとなります。ひっ

生徒の雰囲気

僕と同じ学部の囚人らは皆真面目で面白い人たちなので、とりあえず刑務所内の人間関係で困ることはあまりなさそうかと思われます、そう思いたい...よね?

他学部の人たちはかなり暴れん坊な人やウンコのようなウェイもいれば、真面目な人もいます。ちなみにうちのセクターの人たちは2、3人除けばみんな真面目な人です。隣のセクターからはゴリラやサルの雄叫びが夜通し聞こえるので、眠れない日もあります。

 

とりあえずここら辺までにしておきます。具体的なことは後々twitterなどの「Prison Day #~」などで言うかもしれないですが....

 

はやくだしてくれぇ。

 

 

 

 

二周忌

未だ彼女の墓を見たことはない。

 

彼女の葬式には行かなかった。彼女の家族でもないから行く義務なんてなかったが、それでも周りの人にとっては衝撃だったみたい。あんなに可愛がられていたのに行かないなんて冷たいなァ、と言われることさえあった。

ほどなくして彼女の親が何処かに墓を立てたと聞いた。それでも行かなかった。灰色の海の中に埋もれた、泣きたくなるような風景がふと頭に浮かんでとても厭になった。

 

 

今、こうして書いている中、一日彼女がプレゼントしてくれた数冊の本を並べている。もとは彼女が自分の本棚に並べていたもので、病床に伏す少し前に俺にくれた本である。たとえば夏目漱石の『草枕』や、永井荷風の『日和下駄』などがある。渡された当時は文学なぞには興味はなく、もらっては自分の部屋に置きっ放しだったが、今改めて手に取るとその趣が骨の髄に染み込んでいくような感覚がする。彼女はこの本を読んでいた時、その同じ感覚を味わっていたのだろうか。知るよしもないが、蓋しそうであろうと確信している。

漢文が好きになった今『草枕』を読んでみると、ちょっとばかりその文体に好奇心がくすぐられる。漢語の使い方や引用が趣深く感じられる。あッ、と驚き、気づき、須臾にして感動が訪れる。そんな感激の流れを共有できる相手が、今、どこにいるのだろうか。この感覚を、彼女に伝えることができれば、どんなに嬉しかっただろうか。彼女はどんな面白い議論を吹っかけてくれるのだろうか。

 

わからない。何もかもが闇の中で朦朧としていて、自分の考えでさえもぼやけてしまうような。

 

 

 

 

ひとに教えるとき

学生の分際で人にものを教えるのは生意気な気もするが、時折他人に少し教える時がやってくる。例えば、家で妹の数学の宿題を手伝ったり、フォロワーの方々から時たま「これ教えて!」みたいなことがあった。

ある時、高1の物理基礎の初学者のフォロワーに力学を説明していたとき、問題の解法を教えるのは簡単だった。だけど「そもそもどうしてエネルギー保存の式をここで使うの?」って聞かれて、どう説明するか迷った記憶がある。

「保存力しかないから」って言っても「保存力」って何だよって話になるし、そしたらどう噛み砕いて説明するのがいいか?と考える必要が出てきた。同時に、自分は本当にこの解法の根本にある原理を理解できているのかな?と思ったりもした。

 

そこで何となく教えることの難しさを実感した。

いかに塾の先生とかが物事を完璧に理解してて、かつわかりやすく相手にそれらを伝えることができているかがわかった気がする。

 

まぁ、人に教えてみるっていうのは自分の理解度をチェックするのにもいい体験だと思う。ただ、教えたがりにならないよう気をつけてるけども。今は薬学部国試の勉強に苦しむどっかのアホのために自分のわかる範囲で化学のいろんなことをノートにまとめている。書いているうちに、自分の理解も深まるし、なんだか本当に原理的なところまで掘り下げていってるこの作業が「学問」の味わいを際立たせているみたいな感じがする。どうでもいいんだけど。